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5p-症候群について

5p-syndrome

5p-症候群(5pモノソミー)は、5番染色体短腕の部分欠失による疾患です。
そのために個人差はあるものの、身体面や精神面での発達はゆっくりしたものですが、愛情を持って育てて行くと周囲の愛情に良く反応してくれます。

発生頻度については、 諸説ありますが、新生児50,000人に1人の発生率で、男女比は5対7で女児に多いといわれています。 症例の80~90%が両親のいずれにも染色体異常を認めず、突然変異によるもので、10%前後は両親のいずれかに均衡型相互転座があり、この場合には、5番染色体の部分欠失と同時に相互転座の相手染色体の部分トリソミーも合併していることになるといわれています。

合併症など健康面で気を付けていかなければならないことは、脊柱側弯症、外斜視、歯並び(かみ合わせ)、口唇・口蓋裂、副耳、睡眠障害、運動面や言葉の遅れなどで、呼吸器系に弱さを持つ人や心疾患、中には、てんかん発作や自閉傾向を持っている人もいます。

感染症にもかかりやすいため、注意をすると良いです。生命予後に関しては、比較的良好といわれています。年代ごとに気を付けるべき疾患に早期に適切に対処していくため、健康管理の意味でも、幼少期のみでなく、成人期などのその後も定期的に医師に診て頂くことが推奨されています。

コミュニケーションにおいては個人差がみられますが、音声言語による発語が少ない場合でも、マカトン法などのサイン言語やコミュニケーション・ツールの使用などの代替的な方法をも日常生活に取り入れることを通して、意思表示も豊かになり、周囲とのやり取りをすることができるようになります。

以前には、「猫なき症候群」といわれることもありましたが、WHOも提唱している通り、動物にたとえるのは人道上適切ではありません。心ない人からの誹謗中傷に遭うこともあります。染色体検査の進んだ現在においては、疾患名の呼称は、「5p-症候群」、「5pモノソミー」、「5p欠失症候群」でお願いいたします。小児科学会による「小児科用語集 第2版」においても、「5p-症候群」が推奨されています。

●5p-症候群と診断を受けたらどの様なことに気を付けたほうが良いでしょうか?

5p-症候群と診断を受けたら、下記の点に留意して健診や医療支援を受けましょう。健康管理や身体発育・発達の評価のために、かかりつけの医療機関(小児科・小児神経科・内科・遺伝科など)をもつことが望ましいでしょう。

<評価項目>

・全身診察

・身体計測(身長・体重・頭囲・腹囲)による成長評価・栄養状態評価

・神経学的診察、精神運動発達評価

・心臓超音波、心電図検査による心疾患の評価

・脳波検査(てんかんが疑われる場合)

・眼科診察

・聴力評価

・側彎評価または整形外科受診

・歯科受診

・頭部MRI検査(必要に応じて)

・腹部腎臓超音波検査による泌尿生殖器の評価(必要に応じて)

・遺伝カウンセリング

 ●治療法はありますか?

現時点では認められる症状に対する対症療法が治療の中心となります。年代ごとに注意すべき合併症が異なり、状況に応じた対策が必要となります。新生児期には呼吸障害や哺乳障害の治療、成長障害の管理が中心となります。早期から療育を受けるとよいでしょう。吸てつと嚥下の困難さを改善するために、米国では生後1週間以内からリハビリテーションを開始することが推奨されています。精神運動発達遅滞や言語発達遅滞に対しては理学療法と言語療法が推奨されます。先天性心疾患に対しては、必要に応じて手術療法や薬物療法を行います。てんかんに対しては、抗けいれん剤を投与します。脊柱側弯については、成長期は特に定期的な評価を行い、必要に応じてコルセット装用・修復術を行います。

●予後はどうですか?

主要臓器疾患が無ければ、寿命は正常です。約10%の方では生後早期死亡があると報告されますが、染色体欠失のタイプによりその頻度は、異なります(不均衡型転座18.5%、端部欠失4.8%)。また、生後早期死亡の75-90%は生後1年以内とされ、生後数年を過ぎると、死亡率は減少します。主な死因は、肺炎、先天性心疾患、呼吸窮迫症候群です。予後を改善するためには早期診断が重要であるとされています。早期診断により早期からの治療介入が可能となり、身体発育、精神運動発達、社会的適応を改善します。

初めて5p-症候群をもつ方を診療する医療関係者の方へ

診断確定後には、先天性心疾患や腎疾患などの内臓合併症の有無を確認してください。大きな内臓合併症が無ければ、予後は比較的良好です。早期より療育を導入することで、社会適応の予後改善が見込まれます。もともと優しいおだやかな性格の方が多いようです。多動性、自傷、聴覚過敏、睡眠障害、便秘症などが問題となることがあり、一般的な対症療法を実施します。定期的な内科診察、視聴覚評価、歯科受診、脊柱側弯の評価が必要となります。診断後、本疾患に関する情報不足が家族の心理ストレスの原因となることがあります。カモミールの会などピアサポートの情報や、利用可能な社会資源についても情報提供をすることが望まれます。

次子について等遺伝カウンセリングのご希望がある場合には、遺伝子診療部門にご紹介ください。

監修:

東京女子医科大学遺伝子医療センターゲノム診療科 特任教授 齋藤加代子 先生

東京女子医科大学遺伝子医療センターゲノム診療科 特命担当教授  松尾真理 先生

※5p-症候群は、小児慢性特定疾患(健康に関する一定の条件付き)、難病指定(指定難病 №199)の対象となっています。

これらの各情報センターのホームページもご覧ください。

小児慢性特定疾病情報センター
難病情報センター